今年もOkuMasaを気にかけてくださった皆さまへ。
年末にあたり、心からの御礼を申し上げるとともに、近況のご報告をお届けします。
この一年(そして一昨年のOkuMasaオープンから続く時間)は、料理のことだけに集中したくても、そう簡単にはいかない現実を突きつけられる出来事が多々ございました。
しかしながら、支えてくださる多くの皆様のおかげで、私自身の内面が大きく変化してまいりました。
結果として、OkuMasaの料理と空間は、日々、より上質で美しい姿へと変化しております。
決して華美なものではありませんが、純粋で、質実ともに充実している今の道が正しいことの証左と思います。
人と人との信頼が崩れるとき、店も、関わる人たちも、想像以上に傷つくものです。
いまもなお後始末や心の整理が続いている部分があることは残念ですが、それも正直なところです。
ただ、だからこそ。はっきりと、譲れない一線を、大地を切り裂く勢いでズバッと引く決意が固まりました。
これからは、最初に抱いた違和感を見過ごさず、誠実さや責任感を欠く言動が見える相手とは早い段階で距離を置くことを心がけてまいります。そして、誰かに過度に遠慮したり、空気を読んだつもりで判断を誤ったりすることのないよう、OkuMasaで掲げるビジョンと言動を一致させていきます。
★ミッション:「島食材の価値を、料理体験として最大化する」
★バリュー:「誠実で素直であること、挑戦し創造すること、謙虚に協働すること」
★店の約束:「互いに心地よい距離感を守ります。敬意のない振る舞いはお断りします。」
大切なことは、丁寧に、しかし曖昧にせず、最初から明確にする。
その上で、譲れないことは譲らない。二度と同じ種類の問題を繰り返さないための約束とします。
その一方で、はじめに申し上げた通り、今年もOkuMasaが歩みを止めずにいられたのは、支えてくださる方々がいてくれたからに他なりません。
手伝ってくれているスタッフ。
変わらず通ってくださる常連の皆さま。
陰で支えてくれる親族や関係者の方々。
本当にありがとうございます。
私ひとりの力では到底できないことを、皆さまの手や言葉、心が今日までつないでくれました。
また、お客様との向き合い方も、ShabuMasaの頃とは少し変化してきたと感じています。
OkuMasaは – 純粋に人として、気が合う方々だけが自然に集まる場所 – ではなくなりました。
私にとっても、ShabuMasaに愛着を抱いてくださっている皆様にとっても、少し淋しいことのように感じられますが、オクマサはオクマサとして、土地も背景もメンバーも異なる別人格です。
全国各地、世界各地から、非常にさまざまな目的や背景を持つ方々が、この国頭村を目指して訪れてくださるようになってきたのだと思います。
その変化を素直に喜びと受け止めて、互いが心地よく過ごせる距離感やルール、礼節を丁寧に伝えながら。
「またここに帰ってきたい」と思える場を育み、守り、ともに楽しんでつくりあげてまいります。
来年は、料理を通じて多くの期待を背負うような場面が増えていく、そういう予感があります。
それは身の引き締まることであり、同時に、飛躍の年になるだろうな、という確かな手応えでもあります。
初心を忘れず、心技体を磨き、誠実さを積み重ね、ひと皿ごとに信頼を深めてまいります。
今年一年、本当にありがとうございました。
どうぞ皆さま、穏やかな年末年始をお過ごしください。
来年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
OkuMasa
新崎 匡崇

