OkuMasa

【ランチについて】いまの気持ちと今後のお知らせ

国頭村の海と森に、風がかよう時間が好きです。
市場をまわって、島野菜を丁寧によりわけ、肉に下味をつけ、スープの香りが立ちのぼる。
キッチンの音と匂いに、野鳥たちのさえずりが重なる。
それが、毎日のリズムになっています。

ちかごろは、そのリズムが少しだけ乱れる出来事が続いておりました。
さまざまなカタチで完全予約制であることをお伝えしているのに、ふらりとお越しになって案内が難しく…そのまま「やっていない」「高い」などの評価をいただくことが増えたのです。

体験の前後が抜け落ちたままの言葉を見ると、胸がちくりとします。
私たちを信じて来てくださる方々、生産者さま、手助けしてくれる事業パートナーのみなさま。
支えてくれるスタッフたち、みんなの顔が浮かぶからです。

きっかけと経緯

「なぜ完全予約制なのですか?」と尋ねられることがあります。
答えはシンプルで、「目の前のお客様に、ぴったりと、いちばんおいしくお出ししたいから」です。

島の恵みは気まぐれで、丁寧な仕込みは時間と手がかかります。
小さな店のキッチンには、無理をきかせてくれる魔法はありません。
だからこそ、互いに約束を交わしてからお迎えする。
それが、私たちなりの誠実さです。

近くには、早くて安い、元気なランチのお店があります。
そういう場所があるのは、とても良いことで、私も大好きなお店があります。

一方、OkuMasaのランチは、ゆったりと「島の時間」を重ねていくものです
価格は、厳選された素材や手仕事、手作りの器や調味料、おだやかな沖縄らしい空間を含んだ設計です。
どちらが正しいではなく、ちがう良さがあるのだと思います。

すれ違いが生まれるとき

すれ違いは、たいてい急ぎ足のときに生まれます。

予約なしのご来店でお席をご用意できなかったり、まだ召し上がっていないのに味の評価だけが独り歩きしたり。
「安価なランチ」との比べっこで「高い」と言われることもあります。
でも、それは前提がちがうのだと、どうか思い出していただきたいのです。

短距離走と山歩き。
どちらも素敵ですが、タイムでは互いの良さは測れませんよね。

しかし、単なる妬みやそねみに基づいた心ない嫌がらせは開店当初からあります。クチコミで傷をつけたようにみせることはできても実態は変わりませんから、私たちの心では全く受け取らず、当人にお返しするようにしています。

嘘をつかない。
卑怯なことをしない。
約束を守る。
相手を思いやる。
まちがったら、謝る。

クチコミは本来、人々の体験や感想が共有され、お互いの理解を深めるための場であって、前提や約束を無視した一方的な感情論や虚偽の中傷は「人として汚い行為」です。
人としての品格を失わないことは非常に大切なことですから、悪質な物事には、毅然とした態度で臨みます。

健やかな言葉のやりとりへ

レビューは、これから訪れる誰かの灯りになりえます。
私たちにとっても、より良くなっていくための一つの指標です。

OkuMasaのランチは、ディナーと同じ品質で、時間帯に合わせて構成と量を整えてお届けしています。合わないと感じられた点があっても、ご自身の前提(好み・予算・期待する体験)を一言添えていただけると、とても伝わりやすくなります。

もし行き違いがあれば、その場で、もしくは後日でも構いません。直接のお声が、いちばん丁寧な解決につながります。いただいたご意見は誠実に受け止め、できる範囲で改善してまいります。

これから(大切なお知らせ)

迷いや悲しみもありましたが、やっぱり「好き」と言ってくださる方々にこそ、真っ直ぐ向き合いたい。
そのために、次のように方針を整えます。

ランチは続けます。
ただし、これまで通り完全予約制で、これまで以上にひっそりとやります。

ミスマッチを減らすため、Google上の営業時間などの表記を切り替えます。
(※実際のランチ予約は、公式予約フォーム/メールから承ります。)

お車でご来店の際にGoogleマップをご利用いただく皆様には、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解くださいますようお願いいたします。

すこし個人的な話

山の琉球古民家で独り暮らしをしていたころ、人と離れることで「人と生きる強さ」を学びました。

真っ直ぐにしか生きられない人間であったために、一度、人里離れた山中にひきこもったのです。

そのとき1日1組限定のホストつき民泊を始めたことで、国内外から多くのゲストが訪れてくれて、友人となっていき、あらためて世の中と向き合うことができました。

当時は、Airbnbスーパーホストとしてゲストと素晴らしい時間を過ごすことができました。
しかし、みすぼらしい建物に当たり前に虫が出る空間、そこに朴訥な私であって、とても褒められたものではなかったと思います。

それでも、訪れてくれるゲストたちが私と過ごす宿泊価値を評価してくれたのは、あくまでも気持ちが通じ合って、言葉を超えて、真心だけをみてくれたからだと思います。

とりわけ韓国や台湾、上海や香港、シンガポールやタイなど、近隣諸国の友人たちの存在は大きく、自分の価値観を健やかに育んでくれました。

そうして、彼らと一緒に同じ食事を楽しんだ体験から、OkuMasaの前身であるShabuMasaを開業し、食体験をも評価して頂く流れとなりました。

いまは自分も好きになってくれるような人たちと、心地よく生きられるように、国頭村へやってきました。
OkuMasaはチャレンジングであった反面、やらなくてよいような失敗も多くありましたが、国頭村に来てからは沢山の支えがあり「素敵な人たちと関わって生きる喜び」を教わっています。

遠くから来てくださる海外の方、何度も通ってくださる皆さま。
皆さまの「おいしい」「ありがとう」の一言が、キッチンのあかりを今日も灯してくれます。

この気持ちが、心が通じあえるような方に届きますように。
どうか、すれ違いが少しでも減りますように。
そして、またお会いできる日を、心から楽しみにしています。

OkuMasa
新崎匡崇


追伸:ご予約について

 ・ご予約は公式の予約フォーム/メールのみで承ります。

 ・食材の準備が必要なため、前日までのご連絡にご協力ください。

 ・小さなキッチンです。
  できないことも多くありますが、そのぶんできることは丁寧にお届けします。
  どうぞ気軽にご相談ください。

ランチを続けることは、ただ営業を続けるという意味だけではありません。
私にとっては、ここで生きていく理由のひとつでもあります。

いまは人手不足です。だからこそ予約制で丁寧に営業をしたいと考えています。
仕入れと仕込み、体力の配分を考えると、今ランチで無理はできません。
正直なところ、無理を押し通してランチ営業をし続けてきた、というのが現実です。

けれど、約束を交わしてくれた方を最良の状態でお迎えすることなら、誠実に続けられます。
予約制は、そのための大切な仕組みです。

「次は家族を連れてくるね」「あの味が忘れられない」
そんな言葉に、どれだけ励まされてきたか分かりません。


島野菜を届けてくれる農家さん、器を焼く作家さん、静かに手を貸してくれる仲間たち。
OkuMasaの一皿には、たくさんの人の気持ちが溶け込んでいます。
国頭村のランチシーンと未来を、少しでも明るく。続けること自体が、感謝のかたちです。

また、新しい夢を抱いてここに学び、次の場所で料理の灯りをともす人がいます。
ランチの現場は、そのいちばん良い教室です。

だから、いまランチはやめません。
無理をせず、約束を大切にしながら、できる範囲を丁寧に続けていきます。

Masataka Arasaki

Owner/Chef

Masataka Arasaki

やんばるで猫と暮らす、おいしい島食材を伝えるシェフ。

★地域で飲食店をプロデュースし、本当に美味しく、心地よく過ごせる場所を増やします。
★陶芸や琉球ガラスなどの工芸品にも通じ、世界に誇れる新しい沖縄の食体験を築きます。
★地域福祉と連携し、持続可能である上に、好循環をもたらす働き方と暮らしを守ります。